振付 峰さお理が語る花組公演『新源氏物語』の魅力
作品の魅力
源氏物語自体が素晴らしい魅力を持った本なので、憧れじゃないですかね。やっぱり一度は源氏というのはやってみたいなって思うんじゃないでしょうか。
宝塚歌劇による『日本物』の魅力
オーケストラっていうのがまずすごい魅力だと思います。今オーケストラで本当の日本的なものを踊るっていうところは、ほとんどありませんから。なので、これはもう宝塚にしかできないことだと思いますし、あと群舞。これも宝塚でしかできないと思います。普通の日本舞踊界っていうところは、なかなか群舞っていうのができないところなので、創作舞踊劇場とかがあった時はよく群舞もあったんですけども。なので、群舞の素晴らしい、一気に全員がうわーっと息の合った踊りをするっていうその魅力っていうのは今宝塚しかないんじゃないかと私は思います。
振り付けた場面について
どちらかというとラブシーン専門というか…今回。現役にいた頃からラブシーンが上手とよく言われていたんですけども、そういうところを買ってくださったのかどうか、大野先生が私のラブシーンがお好きで。最初の藤壷とのラブシーンがとにかくすごく見た時にいやらしくなく、それでいてとてもセクシーで綺麗なシーンにしたかったので、そういうところすごく考えて作りました。例えば、娘役さんとかは結構キツイと思います。反りとか、身体の。綺麗なシーンっていうのはそれだけ無理な姿勢とかはやらないとどうしても綺麗にはならないので。ただ、明日海さんも花乃さんもすごく協力してくれて、『じゃあこうしよう、ああしよう』ととっても綺麗な形に作ってくれて感激しています。
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同じラブシーンでも柏木と女三宮の密通のシーンっていうのは、逆に思い合ってのシーンではないので、そういうところを変化をつけるとか、そういうことは考えました。天の川は源氏が会いたい会いたいと思っていて、最初の逢瀬が天の川の晩だったからっていうことで天の川の幻想になっているんですけど、絶対に触れそうで触れられないっていう感じを出したくて。あと、最後にフっと藤壷が消えたかったんですね。なので、それをどうやったらフって消えるかなって考えたりとか、楽しかったです。とても。
私、源氏物語の中でっ六条御息所って好きなんですね、結構。とても好きな人物なんですけども、なので車争い作らせて頂いてとすごく嬉しかったんですが、とっても短いんですタイムは。時間が短い間に六条の怨念とかグワーっと出さなきゃいけないことで、分身が出るんですけど、可愛い娘役さん6人の。すごい可愛くて、振付してる時も『可愛い顔はいらない。怖いか気持ち悪いか、そういう顔にしてほしい』とかお願いして六条の引き込みというかセリ下がり、柚香ちゃんがとっても良い表情を出してくれてるので、哀れっていうか、ああ悲しい人だったんだなっていうのがよく出てきたなって思います。細かく感情を言って、こういう想いで手を差し伸べるとか。手をこう出すのも想いで違うと思うんです、出し方が。だから、これはこういう想いで出して、こういう想いでっていうのを細かくお話したらすごくよく分かってくれて、今とっても良い表現になってきたなと思います。
…いやあ、ラブシーン本当に美しい…いやらしくならずにセクシーさを演出する手腕がすばらしい!!